心の雑草

「げ」と申します。「旅=人生」というライフスタイルをめざして、心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

浅上、お前は最高だ……「空の境界」3巻感想

「苦しいか。……痛かったら、痛いって言えばよかったんだ、おまえは」

伝奇ノベルの傑作「空の境界」のコミカライズ、3巻です。
今回はほとんどが2巻から続くエピソード「痛覚残留」に当てられ、「伽藍の洞」の入りまでが収録されてます。

「痛覚残留」。小説の時から好きなエピソードでした。
ヒロインである両儀式、敵である浅上藤乃
殺人を肯定する式と否定する藤乃という図式でありながら、実際には式は人を殺めず藤乃は何人もの人間を殺していく。この対比が面白く、どちらも「異常能力者」であり本質は「殺人嗜好者」であるという共通点もまた深みを与えてます。

式の能力は「直死の魔眼」と呼ばれるもので、その眼で見たものには彼女にしか見えない「線」が見え、その線を切断すればどんなものであれ「死ぬ」というもの。それは概念のような目に見えないものにも適応されます。
彼女はそれを両儀の家系に伝わる体術と手にしたナイフで切る、という戦闘法。

一方浅上藤乃の能力は極めて単純で、視認し意識を向けた物を曲げるというもの。スプーン曲げの超強力なやつ、というと弱そうですが、人間の腕なんて一瞬でバキバキねじります。
普通の清楚な女学生なので身体能力は並ですが、有り余る強烈な力の持ち主です。

小説での二人の対決はハラハラして面白かったんですが、漫画版は正直そこまででもなかったという印象。はて?

そこで小説の方の戦闘シーン読み直して気付いたんですが、漫画では画になっている地の文の面白さの妙がそこにはありました。
結局漫画になった時に、微妙に説明が不足するんですね。リズム重視は分かるんだけど、もう少し丁寧に描写しても良かったかなーという感じです。
あと単純にちょっと画が分かりにくい場面もありました。ジョジョ好きが何言ってんだって話である。

3巻まで読んでの感想なんですけど、この漫画の作者である天空すふぃあさん、アクションよりも会話シーンでの表情とか心境とか、そういうのに力を発揮する方なんじゃないかなあ、と。
戦闘シーンは戦闘そのものよりも戦っている人物の顔で読ませる。
単純な会話シーンも原作の台詞の魅力もありますが、それに違和感なくマッチするキャラクター達の立ち振る舞いが小気味良いです。

そもそも「空の境界」とはそういう作品だと思ってますから、そういう観点からみれば「空の境界」はいい漫画家さんに出会えたんじゃないかな、と思います。
超能力をテレビのチャンネルで例えるの、分かりやすいし面白かったー。

とにもかくにも次の巻ではエピソード「矛盾螺旋」が始まるでしょう。
橙子さん大活躍ですし、楽しみです。


興味湧いてきた方、こちらからどうぞ。小説読んだことない方には小説版もオススメです!


小説の「上」は、ちょうど「痛覚残留」まで収録されてますよー。