心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

いまさら半沢直樹〜半沢出向の意味を考える〜

いやー、リアルタイムで観ていたけどいまさら「半沢直樹」について考えてみようと思う。

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「何故、大和田は残され半沢が出向なのか」
まあ、アレだ。二人の言動と行動を見直して中野渡頭取の立場で考えると、なんとなく自分の中で色々と理由が見えてきた。

セリフから考察…。

大和田に宣戦布告するシーン。ここで印象的なセリフの応酬がある。
銀行は人々のためだとか何とか、理想論をぶちまけた大和田の行動は、「金貸し」そのもの。
一方「銀行は所詮金貸しですよ、常務」と言った半沢のその後の行動は、その「所詮金貸し」として利害が合わない。

双方言動と行動が真逆なのだ。これはややこしい。

  • 何度も中野渡頭取が言っている「銀行員として」という言葉。観直してみると、「所詮は金貸し」というスタンスを指しているように思える。最終回では大和田常務に「私は銀行員としての君を尊敬している」とか言うし。つまり大和田常務の行動を評価しているってことだ。

中野渡頭取が半沢に伊勢島ホテル再建を頼んだのは、第一部での5億回収という「結果」からの判断だと思う。「人間」ではなく「銀行員として」の半沢直樹が優秀だと思ったからではなかろうか。

結果は伊勢島ホテル再建は成したが、実際に触れ合ってみると「おいおい半沢、こいつ銀行員向いてねえよ正直」みたいな感じだったんだろう、頭取的に。

半沢は人間性は良いが銀行員として甘く、私欲に飲まれていたりして脆い可能性がある。
大和田は人間としてはクズかもしれないが、銀行員としての才覚、冷徹さ、したたかさがある。
中野渡頭取が見たのは「銀行員として」の力だったということだ。それは頭取のセリフ全体を通して伝わってくる。



中野渡頭取の立場で考えてみる…。

そもそも突然、「大和田常務クラスの人間がクビです」ってなったら世間はどう思うだろうか。あのデカイ銀行の常務が突如解雇。
「えっ?なんかしたんじゃね大和田」
「だよなー、突然常務解雇って相当ヤバイことあったんじゃないの」
なんて噂になり、週刊誌やテレビが動き始める可能性がある。
そうして「大和田、不正バンバンやっていた!!」みたいなことが公表されたら「おいおい、そんな人事した頭取にも責任あるんじゃねーのか」となり兼ねないのではないだろうか。
そうなると大和田がどうこうって言うか自分の立場が危ない中野渡頭取。
仮に大和田が解雇モノだとしても、己の保身のために取締役への降格で抑えたのではと考えられる。

一方半沢出向の理由。
中野渡頭取は「行内融和」を成そうとしている。
一言で言っちゃうと、半沢はカリスマあるし若い奴らが信者になって、下手すると「半沢直樹派閥」が将来生まれてしまうわけだ。行内融和だって言ってるのにこれされちゃあたまらない。
頭取からすれば個性や極端なリーダーシップがある者は扱いにくい、つまり「行内融和」を阻害するファクターとなり得る。
今回の大和田常務への外面上の温情によって、大和田は今までのように好き勝手できなくなった上に頭取への叛逆はできなくなった。
そして今回の半沢の活躍をプラス評価してしまうと、それは半沢自身の暴走を肯定することにもなるし、何より「半沢派閥」が誕生する可能性が極めて高い。

大和田常務の不正を暴いて土下座させて大満足の半沢だが、半沢の金融庁調査での反抗的な態度に対しての罰則も決めないといけなかったはずなのだ、あの会議。
そういう意味でも「半沢直樹出向」はちょうど良かったのではないだろうか。



いやー。一枚も二枚も上手だ。半沢も大和田も頭取の手のひらの上だ。
どんどん中野渡頭取が狡猾な人に見えてきた。
まああの立場まで上り詰めた人だからな。
自分の手は汚さず、人の心さえ利用して問題を綺麗に解決する中野渡頭取。

半沢直樹シリーズ」最後の敵は頭取ですかね。
とりあえず「ロスジェネの逆襲」読んでみようと思います。